明治26年、一艘の蒸気船が宇和島を目指して最後の航海に出る。
一人の老婆と、会津の若夫婦・若き航海士、沢山の人生の旅立ちを乗せて。
老婆の名は、楠本イネ。
父をフォン・シーボルト、母を花魁のタキにもち、長崎に生まれたおイネは幼くして、「自分は皆と同じではない」と悟る。